「受勲（じゅくん）」と「叙勲（じょくん）」、この二つの言葉、普段あまり意識しないかもしれませんが、実は意味が異なります。 この受勲 叙勲 違いを理解することは、日本の栄典制度を知る上で非常に重要です。 今回は、それぞれの言葉の意味や、どのような場面で使われるのかを、分かりやすく解説していきます。
受勲と叙勲、その基本的な違いとは
まず、結論から言うと、「叙勲」は勲章を授ける側（国）の行為を指し、「受勲」は勲章を受け取る側（個人）の行為を指します。つまり、 叙勲は国が功績を称えるために勲章を与えることであり、受勲はその勲章を受け取ることを意味するのです。
- 叙勲： 功績のある個人に対し、国が勲章を授与する行為。
- 受勲： 叙勲によって、勲章を受け取ること。
例えば、「〇〇さんが叙勲された」という場合は、国が〇〇さんに勲章を与えることになった、という意味になります。一方、「〇〇さんが叙勲を受けた（受勲した）」という場合は、〇〇さんが勲章を受け取った、という事実を表します。
この二つの言葉は、セットで使われることも多いのですが、主語が誰になるのかによって使い分けるのがポイントです。どちらも、社会に多大な貢献をした人々への敬意や感謝を表すための制度に関連する言葉です。
勲章の種類と授与される基準
叙勲される勲章には、いくつかの種類があります。それぞれ、どのような功績に対して授与されるかが異なります。
- 桐花大綬章（とうかだいじゅしょう）： 最も上位の勲章で、政治、経済、文化などの各分野で、特に顕著な功績を挙げた方に授与されます。
- 瑞宝大綬章（ずいほうだいじゅしょう）： 公務、公共事業などの功績者で、特に顕著な功績を挙げた方に授与されます。
- 旭日大綬章（きょくじつだいじゅしょう）： 政治、経済、文化などの各分野で、特に顕著な功績を挙げた方に授与されます。
これらの上位の勲章以外にも、様々な勲章が存在します。例えば、
| 勲章名 | 主な対象 |
|---|---|
| 瑞宝章（ずいほうしょう） | 公務、公共事業などの功績者 |
| 旭日章（きょくじつしょう） | 学術、技術、芸術、産業、地域社会などの各分野における功績者 |
叙勲の基準は、個人の功績の大きさ、社会への貢献度、その期間などが総合的に判断されます。 これらの基準に基づいて、国が厳正な審査を経て叙勲者を決定します。
叙勲のプロセスと意義
叙勲は、単に勲章が授与されるだけでなく、そのプロセスにも重要な意味があります。
まず、叙勲の候補者は、各省庁や団体からの推薦に基づいて選考されます。その後、内閣府の賞勲局などで、推薦された候補者が叙勲にふさわしいかどうかの審査が行われます。 この厳正な審査を経ることで、叙勲の信頼性と公平性が保たれています。
- 推薦
- 審査
- 内閣の決定
- 天皇への奏上
- 勲記・勲章の授与
叙勲は、功績を挙げた個人を称えるだけでなく、その功績を社会全体に広く知らせ、国民の模範とすることにも繋がります。これは、 社会全体の士気を高め、さらなる発展を促すという大きな意義を持っています。
受勲者が受けるもの
受勲者は、叙勲によって勲章そのものだけでなく、いくつかのものを手にすることになります。
最も象徴的なのは、もちろん 勲記（くんき） と呼ばれる賞状と、 勲章 そのものです。勲記には、受勲者の功績が具体的に記されており、勲章とともに、その栄誉の証となります。 この勲記と勲章は、受勲者の人生における大きな誇りとなります。
また、勲章の種類によっては、以下のようなものも授与されることがあります。
- 綬（じゅ）： 勲章を首から下げるためのリボン
- 褒章（ほうしょう）： 勲章とは別に、特定の善行や功績に対して贈られるもの
これらの授与品は、受勲者の功績を永く称えるためのものです。
叙勲の歴史と背景
日本の叙勲制度は、明治時代に近代国家の建設とともに整備されました。当初は、国家への貢献や軍功を称えるものが中心でしたが、時代とともにその対象は広がり、現在では学術、文化、産業、社会福祉など、様々な分野での功績が評価されるようになっています。
叙勲制度の根底には、社会に貢献した人々への感謝と、その功績を後世に伝えるという強い意志があります。
- 明治時代： 近代国家建設に伴い、勲章制度が導入される。
- 大正・昭和時代： 制度の拡充、対象分野の拡大。
- 現代： 多様な分野での功績が評価される。
叙勲は、単なる名誉だけでなく、その人の人生における努力や情熱が社会に認められた証と言えるでしょう。
受勲・叙勲に関する疑問点
「受勲 叙勲 違い」について、さらに理解を深めるために、よくある疑問点をいくつか見ていきましょう。
Q: 叙勲は、本人が申請できるのですか？
A: 基本的に、叙勲は本人が申請するものではなく、関係機関からの推薦によって行われます。 本人の意思や申請よりも、客観的な功績が重視されます。
Q: 叙勲されたら、何か特別な手続きが必要ですか？
A: 叙勲が決まると、賞勲局から通知があり、勲記と勲章の授与式の日程などが案内されます。 受勲者は、指定された場所に出向き、授与式に参加することになります。
Q: 叙勲の対象となるのは、どのような人ですか？
A: 国や社会のために顕著な功績を挙げた方であれば、年齢や性別、国籍に関わらず対象となり得ます。 ただし、法律に違反した経歴などがある場合は、対象外となることもあります。
Q: 叙勲の褒章は、どのようなものがありますか？
A: 褒章には、紅綬褒章、藍綬褒章、黄綬褒章、緑綬褒章、紺綬褒章などがあり、それぞれに授与される功績の種類が定められています。 叙勲とは異なり、より身近な善行や功績に対して贈られることが多いです。
Q: 叙勲されると、どのようなメリットがありますか？
A: 最大のメリットは、 社会的な名誉と、その功績が公式に認められることです。 また、一部の勲章や褒章には、恩給や年金などの経済的な恩恵が伴う場合もあります。
これらの疑問点を解消することで、「受勲 叙勲 違い」がより明確になったのではないでしょうか。
「受勲 叙勲 違い」について、今回は基本的な意味から、そのプロセス、意義、そしてよくある疑問点までを解説しました。この制度は、日本の社会に貢献した人々への敬意と感謝を表すための大切な仕組みです。この機会に、ぜひ理解を深めてみてください。