上一段活用 上二段活用 違い:混同しやすい2つの活用の違いを徹底解説!

日本語の動詞の活用は、私たち日本人にとっても時に難解なもの。特に「上一段活用」と「上二段活用」は、似ているようで異なるため、混同しやすいポイントです。「上一段活用 上二段活用 違い」をしっかり理解することで、より自然で正確な日本語を話したり書いたりできるようになります。この記事では、この二つの活用の違いを、分かりやすく、そして具体例を交えながら解説していきます。

上一段活用と上二段活用の基本の「違い」

「上一段活用」と「上二段活用」の最大の違いは、活用する際の「母音」にあります。上一段活用は「i」の段に、上二段活用は「i」と「e」の段に活用します。この母音の違いが、それぞれの活用形に現れるのです。 この違いを理解することが、正しい活用をマスターする第一歩となります。

  • 上一段活用:必ず「i」の段(い・き・し・ち・に・ひ・み・り)に活用する。
  • 上二段活用:「i」と「e」の段(い・き・し・ち・に・ひ・み・り、え・け・せ・て・ね・へ・め・れ)に活用する。

例えば、「見る」という動詞は上一段活用ですが、活用すると「見ます」「見ない」「見たい」のように「み」の段で活用します。「着る」も同様に上一段活用で、「着ます」「着ない」「着たい」と「き」の段で活用します。一方、「得る」は上二段活用で、「得ます」「得ない」のように「え」の段に活用することもありますが、「得て」「得よう」のように「え」の段に活用する形も現れます。

活用 活用形(一部)
上一段活用 見る 見ます、見ない、見たい
上二段活用 得る 得ます、得ない、得て

上一段活用の特徴と具体例

上一段活用は、その名の通り、活用語尾が常に「i」の段、つまり「い」の音で終わるのが特徴です。これが、下一段活用など他の活用との最も分かりやすい見分け方となります。

  1. 上一段活用の動詞の見分け方: 未然形+ない、連用形+ます、連体形+とき、仮定形+ば、命令形+ろ/よ、といった活用形を考えたときに、活用語尾が「i」の段になる動詞が上一段活用です。
  2. 上一段活用動詞の例: 「見る」「着る」「いる(居る)」「起きる」「考える」「信じる」「分かる」「できる」「知る」「走る」「切る」「閉じる」「逃げる」などが代表的です。
  3. 活用形の例:
    • 見る → 見ない、見ます、見るとき、見れば、見ろ
    • 着る → 着ない、着ます、着るとき、着れば、着ろ
  4. 上一段活用の重要性: 古典文法では、上一段活用は他の活用と区別して理解することが、文章読解において非常に重要です。現代語でも、正しく活用させることで、より自然な日本語表現が可能になります。

上二段活用の特徴と具体例

上二段活用は、上一段活用と異なり、活用語尾が「i」の段と「e」の段の両方に現れるのが特徴です。この二つの段を使い分けるのが、上二段活用のポイントとなります。

上二段活用の動詞は、文語(古い日本語)の時代には多く存在しましたが、現代語ではその数は減っています。しかし、一部の動詞や、特定の文脈で活用形が現れることがあります。

  • 上二段活用の動詞の見分け方: 未然形+ない、連用形+ます、連体形+とき、仮定形+ば、命令形+ろ/よ、といった活用形を考えたときに、活用語尾が「i」の段と「e」の段の両方に現れる動詞が上二段活用です。
  • 上二段活用動詞の例: 「得る(うる)」「食む(くむ)」などが代表的です。現代語では、「得る」がよく使われます。
  • 活用形の例:
    • 得る → 得ない、得ます、得るとき、得れば、得ろ
    • ※ただし、連用形+て、連用形+う/よう などでは「え」の段に活用することが多いです。例:得て、得よう
  • 上二段活用の見分け方: 「〜える」「〜うる」で終わる動詞で、「ない」形が「〜えない」や「〜えない」になるもの、そして「ます」形が「〜えます」や「〜えます」になるものに注意が必要です。

「上一段活用」と「上二段活用」の混同しやすいポイント

「上一段活用」と「上二段活用」が混同しやすいのは、どちらも活用語尾に「i」の段が含まれるためです。特に、現代語では上二段活用の動詞が少なく、かつ活用形も現代語の感覚では分かりにくいため、間違えやすい傾向があります。

例えば、「見る」と「得る」を比較してみましょう。「見る」は上一段活用なので、「見ない」「見ます」「見た」「見るとき」「見れば」「見ろ」と、常に「み」の段で活用します。一方、「得る」は上二段活用なので、「得ない」「得ます」のように「え」の段になることもありますが、「得て」「得よう」「得べし」のように「え」の段に活用する形も現れます。

  1. 現代語における注意点: 現代語では、上二段活用に分類される動詞は非常に限られており、かつその活用形も上一段活用と似ているように感じられることがあります。
  2. 古典文法との違い: 古典文法では、上二段活用と上一段活用の区別はより明確で、活用形も豊富に存在しました。現代語に近づくにつれて、その区別が曖昧になってきた部分があります。
  3. 見分け方のコツ: 現代語で「〜える」や「〜うる」で終わる動詞が出てきたら、一度「ない」形や「ます」形を考えてみましょう。そして、それが「〜える」「〜える」となるのか、「〜いる」「〜いる」となるのかを確認すると、上一段か上二段かの判断材料になります。
  4. 学習におけるアドバイス: 初めは、上一段活用に代表される動詞(見る、着るなど)をしっかり覚え、そこから上二段活用の動詞(得るなど)へと理解を広げていくのがおすすめです。

下一段活用との比較

「上一段活用」と「上二段活用」の違いを理解するためには、「下一段活用」との比較も有効です。下一段活用は、活用語尾が常に「e」の段、つまり「え」の音で終わるのが特徴です。

活用 活用形(一部)
下一段活用 食べる 食べない、食べます、食べた

下一段活用は、「食べる」「寝る」「見る」といった現代語でよく使われる動詞に多く見られます。これらの動詞は、活用語尾が常に「え」の段になるため、上一段活用や上二段活用とは区別しやすいです。

例えば、「食べる」は下一段活用なので、「食べない」「食べます」「食べた」「食べるとき」「食べれば」「食べろ」と、常に「べ」の段で活用します。このように、活用語尾の母音に注目することで、下一段活用、上一段活用、上二段活用の区別がつきやすくなります。

  • 下一段活用:活用語尾が常に「e」の段(え、け、せ、て、ね、へ、め、れ)で終わる。
  • 下一段活用の動詞の例:食べる、寝る、見る(※「見る」は上一段活用ですが、文脈によっては下一段活用のように聞こえる場合もあるため注意が必要です。厳密には上一段活用です)、開ける、閉める、覚える、忘れるなど。

活用形と活用の種類を判断する練習

「上一段活用」「上二段活用」「下一段活用」の違いを理解するためには、実際に動詞の活用形を見て、それがどの活用に属するかを判断する練習が効果的です。

ここでは、いくつかの動詞を提示し、それぞれの活用形と活用名を判断する練習をしてみましょう。まずは、代表的な動詞から慣れていくことが大切です。

  1. 練習問題: 以下の動詞の活用形を見て、それが上一段活用、上二段活用、下一段活用のどれに当たるか判断してください。
  2. 問題1: 「知る」→「知らない」「知ります」 → (   )活用
  3. 問題2: 「得る」→「得ない」「得ます」 → (   )活用
  4. 問題3: 「寝る」→「寝ない」「寝ます」 → (   )活用
  5. 解答: 問題1:上一段活用、問題2:上二段活用、問題3:下一段活用

このように、活用形から元の動詞の活用種類を判断する練習を繰り返すことで、徐々に違いが掴めてきます。また、辞書で動詞を引く際に、活用形を一緒に確認する習慣をつけるのも良い方法です。

まとめ:「上一段活用 上二段活用 違い」をマスターしよう

「上一段活用」と「上二段活用」の「違い」は、活用語尾の母音にあります。上一段活用は常に「i」の段、上二段活用は「i」と「e」の段に活用します。この違いを理解し、具体的な動詞の例で確認していくことで、混同しがちなこれらの活用も、より正確に理解できるようになります。練習を重ねて、自信を持って日本語の活用を使いこなしましょう。

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