「なんだか体のあちこちが痛む…」そんな時、それが「神経痛」なのか「リウマチ」なのか、迷ってしまうことがありますよね。神経痛とリウマチの違いを理解することは、適切な対処法を見つける上で非常に大切です。この二つの症状は、痛みの原因や性質が大きく異なります。
痛みの原因:神経か、関節か
神経痛とリウマチの違いを理解するために、まず痛みの根本的な原因を見ていきましょう。神経痛は、文字通り神経そのものに問題があって起こる痛みです。例えば、神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで、ズキズキ、ピリピリとした電気が走るような痛みが現れます。 痛みの原因を特定することが、治療への第一歩となります。
一方、リウマチ、特に「関節リウマチ」は、体の免疫システムが誤って自分の関節を攻撃してしまう病気です。これにより、関節に炎症が起こり、腫れや熱感、そして動かしにくさを伴う痛みを引き起こします。関節リウマチでは、単に痛むだけでなく、朝方に手足の指がこわばるといった特徴もあります。
以下に、それぞれの痛みの特徴をまとめました。
| 症状 | 神経痛 | リウマチ(関節リウマチ) |
|---|---|---|
| 痛みの原因 | 神経の異常(圧迫、炎症など) | 免疫の異常による関節の炎症 |
| 痛みの種類 | ズキズキ、ピリピリ、電気が走るような痛み | 鈍い痛み、腫れや熱感を伴う痛み |
| その他の症状 | しびれ、感覚の異常 | 朝のこわばり、関節の腫れ、倦怠感 |
痛む場所:全身?それとも特定の関節?
神経痛とリウマチの違いは、痛む場所にも現れます。神経痛は、原因となる神経の走行に沿って痛むことが多いのが特徴です。例えば、顔面神経痛であれば顔の片側、坐骨神経痛であれば腰から足にかけて痛むといった具合です。痛む範囲が限定的であったり、特定の動作で強くなったりすることもあります。
対して、関節リウマチは、体の左右両側の小さな関節(指、手首、足首など)から始まることが多く、徐々に大きな関節にも広がる傾向があります。朝のこわばりも、これらの関節で強く感じられます。
痛む場所について、さらに詳しく見ていきましょう。
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神経痛の場合:
- 三叉神経痛:顔の片側
- 肋間神経痛:胸やお腹のあたり
- 坐骨神経痛:腰からお尻、足にかけて
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関節リウマチの場合:
- 両手の指の関節
- 両手首
- 両足の指の関節
- 両足首
痛みの性質:鋭い痛み?それとも慢性的な痛み?
神経痛の痛みは、しばしば「鋭い」「電気が走るような」と表現されます。これは、神経が刺激されていることによる急激な信号伝達が原因です。痛みが走る瞬間に、思わず「イテッ!」と声が出てしまうような、瞬間的な強さを伴うことがあります。また、触ると痛みが強くなることも少なくありません。
一方、関節リウマチによる痛みは、より「鈍い」「重い」といった表現が似合います。関節の炎症による腫れや熱感、そして長引くことによる関節の変形などが原因で、慢性的に痛むことが多いのが特徴です。じわじわと痛みが続き、動かすのが辛く感じるという方もいらっしゃいます。
痛みの性質について、より具体的にまとめると以下のようになります。
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神経痛:
- 突然、鋭く走るような痛み
- ピリピリ、チクチクする感覚
- 触れるだけで痛むことがある
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リウマチ(関節リウマチ):
- 慢性的に続く鈍い痛み
- 関節の腫れや熱感を伴う
- 動かすと痛みが強くなる
その他の症状:痛み以外のサイン
神経痛とリウマチの違いは、痛み以外の症状にも現れます。神経痛の場合、痛みに加えて「しびれ」や「感覚の異常(熱い、冷たい、触っている感覚がないなど)」を伴うことがあります。これは、神経が正常に働いていないサインです。
関節リウマチでは、関節の症状以外にも、「倦怠感(体がだるい)」、「微熱」、「食欲不振」といった全身症状が見られることがあります。これは、体全体で炎症が起きていることを示唆しています。
それぞれの病気で現れる可能性のある、痛み以外の症状を以下にまとめました。
| 症状 | 神経痛 | リウマチ(関節リウマチ) |
|---|---|---|
| 感覚の異常 | しびれ、感覚が鈍い、過敏になる | (直接的な感覚異常は少ない) |
| 全身症状 | (基本的にない) | 倦怠感、微熱、食欲不振 |
| 関節の所見 | (基本的にない) | 腫れ、熱感、動かしにくさ、変形 |
原因となる病気:痛みの背景にあるもの
神経痛とリウマチの違いを理解する上で、その原因となっている病気を知ることも重要です。神経痛の多くは、帯状疱疹の後遺症、ヘルニアによる神経圧迫、糖尿病による神経障害など、様々な原因で起こります。原因が特定できれば、それに応じた治療が可能になります。
関節リウマチは、自己免疫疾患と呼ばれるもので、遺伝的な要因や環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。はっきりとした原因はまだ特定されていませんが、早期発見・早期治療が進行を抑える鍵となります。
原因となる病気には、以下のようなものが挙げられます。
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神経痛の場合:
- 帯状疱疹後神経痛
- ヘルニア
- 糖尿病性神経障害
- 顔面神経麻痺
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リウマチ(関節リウマチ)の場合:
- 不明(自己免疫疾患)
- 遺伝的要因
- 環境要因(感染、喫煙など)
診断方法:どのように見分ける?
神経痛とリウマチの違いを診断するためには、医師による丁寧な診察と、いくつかの検査が必要です。医師は、痛みの場所、種類、きっかけ、そしてその他の症状について詳しくお話を伺います。問診はその第一歩です。
身体診察では、痛む場所を触ったり、関節の動きを調べたりします。血液検査では、炎症の程度やリウマチ因子などの特定の値を確認します。画像検査(レントゲン、MRI、超音波など)も、神経の圧迫や関節の炎症・変形を詳しく調べるために行われます。
診断のために行われる主な検査を以下にまとめました。
| 検査 | 神経痛 | リウマチ(関節リウマチ) |
|---|---|---|
| 問診 | 痛みの特徴、しびれの有無などを詳しく聞く | 痛みの場所、朝のこわばりの有無などを詳しく聞く |
| 身体診察 | 神経の圧痛、知覚検査など | 関節の腫れ、熱感、可動域の制限などを確認 |
| 血液検査 | (原因による) | CRP、ESR、リウマチ因子、抗CCP抗体など |
| 画像検査 | MRI(神経圧迫)、神経伝導検査など | レントゲン(骨の変形)、MRI、超音波(関節の炎症)など |
治療法:痛みにどう向き合うか
神経痛とリウマチの違いによって、治療法も異なります。神経痛の治療は、原因となっている病気を特定し、それを改善することが中心となります。痛み止めの薬(鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬など)が使われるほか、原因によっては手術やリハビリテーションが必要になることもあります。
関節リウマチの治療は、炎症を抑え、関節の破壊を防ぐことを目的とします。抗リウマチ薬(DMARDs)、生物学的製剤、ステロイドなどが使われます。早期に適切な治療を開始することで、病気の進行を遅らせ、QOL(生活の質)を維持することが期待できます。
それぞれの治療法について、いくつか例を挙げます。
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神経痛の治療例:
- 薬物療法:鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬
- 理学療法:リハビリテーション
- 神経ブロック注射
- 手術
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リウマチ(関節リウマチ)の治療例:
- 薬物療法:抗リウマチ薬、生物学的製剤、ステロイド
- リハビリテーション
- 外科手術(関節の機能回復)
「神経痛」と「リウマチ」、どちらの痛みであっても、我慢せずに早めに専門医に相談することが大切です。適切な診断と治療を受けることで、痛みを和らげ、より快適な生活を送ることができるようになります。