「血清」と「血漿」、どちらも血液から得られるものですが、その違いは意外と知られていないかもしれません。このページでは、 血清 血漿 違い わかりやすく イラスト を交えながら、それぞれの特徴と違いを分かりやすく解説していきます。医療現場はもちろん、健康診断などで目にする機会もあるこれらの用語を、この機会にしっかり理解しておきましょう！
採血した血液からわかる「血清」と「血漿」の秘密
血液は、私たちの体を巡る生命の源です。その血液から、病気の診断や治療に役立つ情報がたくさん得られます。特に「血清」と「血漿」は、血液検査でよく使われる成分です。しかし、この二つ、一体何が違うのでしょうか？実は、ごくわずかな「あるもの」の有無が、血清と血漿を分ける最も大きなポイントなのです。 この違いを理解することが、血清 血漿 違い わかりやすく イラストで学ぶ上で重要です。
- 採血したばかりの血液は、固まる前の「血漿」の状態です。
- 「血漿」には、血液を固めるための「血液凝固因子」が含まれています。
- 「血清」は、「血漿」から「血液凝固因子」を取り除いたものです。
具体的に、血液が固まる過程を図で見てみましょう。
| 血漿 | 血液凝固因子＋水分・タンパク質・電解質など |
|---|---|
| 血清 | 水分・タンパク質・電解質など（血液凝固因子なし） |
このように、血清と血漿は、血液凝固因子が「ある」か「ない」かの違いで区別されます。この違いが、それぞれの用途にも影響を与えてくるのです。
「血漿」ってどんなもの？
「血漿」は、血液の約55%を占める液体成分です。そのほとんどが水分（約90%）で、残りはタンパク質、糖質、脂質、電解質、ホルモン、ビタミン、老廃物などが溶けています。血液が固まる前の状態であり、まさに血液の「液体」の部分と言えるでしょう。
- 栄養素の運搬 ：食べ物から吸収された栄養素を、体の隅々まで運びます。
- 老廃物の運搬 ：体内で発生した二酸化炭素や尿素などの老廃物を、排泄器官まで運びます。
- 免疫機能 ：免疫に関わる抗体なども血漿中に含まれています。
- 体温調節 ：血液が体内を循環することで、体温を一定に保つのを助けます。
血漿は、いわば血液の「運搬屋さん」であり、体内の様々な物質を運ぶ重要な役割を担っています。また、血液が固まるために不可欠な「血液凝固因子」を豊富に含んでいることも、血漿の大きな特徴です。
「血清」は「血漿」から何がなくなったの？
「血清」は、「血漿」から血液凝固因子を取り除いたものです。血液が固まる過程で、血漿中のフィブリノーゲンなどの凝固因子が働き、血栓（血の塊）を形成します。この血栓ができた後、残った液体成分が「血清」となります。つまり、血漿は「固まる前の血液」、血清は「固まった後に残った透明な液体」というイメージです。
血清を採取するためには、採血した血液をしばらく放置して、自然に固まるのを待つ必要があります。この一連の作業を経て得られるのが血清なのです。
| 血漿 | 採血直後の血液（凝固因子あり） |
|---|---|
| 血清 | 固まった血液から分離された液体（凝固因子なし） |
この「凝固因子があるかないか」という点が、血清と血漿の最も分かりやすい違いと言えるでしょう。イラストでイメージすると、血漿は「トロトロのスープ」、血清は「スープから具材を取り除いた澄んだスープ」のようなものです。
「血清」と「血漿」の使い分け
血清と血漿は、それぞれ異なる目的で検査に用いられます。どちらが適しているかは、検査したい項目によって異なります。例えば、血糖値やコレステロール値などの測定には、一般的に血清が用いられることが多いです。これは、これらの検査において血液凝固因子が測定結果に影響を与える場合があるためです。
- 血清がよく使われる検査 ：血糖値、コレステロール、肝機能検査、腎機能検査など
- 血漿がよく使われる検査 ：凝固因子に関する検査、一部のホルモン検査など
このように、検査項目によってどちらの成分を使うかが厳密に決められています。正確な診断のためには、この使い分けが非常に重要になってくるのです。
「血漿」から「血清」への変化をイラストで見てみよう！
採血したばかりの血液は、鮮やかな赤色をしています。これを放置すると、徐々に固まっていきます。固まった後、遠心分離機にかけると、赤血球や白血球、血小板といった固形成分と、透明な液体成分に分かれます。この透明な液体成分が「血清」なのです。
- 採血直後 ：鮮やかな赤色の「血漿」状態。
- 時間経過 ：血液が固まり始める（凝固因子が働く）。
- 固まった後 ：固形成分と「血清」に分離。
イラストでイメージすると、血漿は「絵の具の赤」のような状態ですが、血清は「絵の具が固まって、その上澄みにできた透明な水」のようなイメージです。この変化を視覚的に捉えることで、血清と血漿の違いがより鮮明になります。
「血漿」は医療現場でどう使われる？
血漿は、そのまま輸血に用いられることもあります。特に、出血量が多い場合や、血液凝固因子に異常がある患者さんに対して、新鮮凍結血漿（FFP）として投与されます。これにより、血液量を補ったり、失われた凝固因子を補充したりすることができます。
| 血漿の主な用途 | 輸血（血液量維持、凝固因子補充） |
|---|---|
| 新鮮凍結血漿（FFP） | 血漿から必要な成分を濃縮・凍結したもの |
また、血漿交換療法といった治療法もあります。これは、血漿中の異常な成分を取り除き、正常な血漿と入れ替える治療法で、様々な自己免疫疾患などの治療に用いられています。このように、血漿は単なる検査材料としてだけでなく、直接的な治療にも応用されているのです。
「血清」はなぜ検査に欠かせないの？
血清は、血液凝固因子が含まれていないため、安定した状態で様々な検査を行うことができます。特に、体内の状態を反映する様々な物質（ホルモン、酵素、抗体、薬物など）の濃度を測定するのに適しています。これらの物質の変動を調べることで、病気の診断や治療効果の判定、薬の血中濃度の管理などが行われます。
- 安定した測定が可能 ：凝固因子による影響を受けにくい。
- 多様な検査項目 ：血糖、コレステロール、肝機能、腎機能、ホルモン、感染症マーカーなど。
- 病気の早期発見 ：異常値の早期検出により、早期治療につながる。
例えば、健康診断でよく行われる血糖値の測定は、血清を使って行われます。もし血漿のままだと、凝固因子が測定に影響を与えてしまい、正確な値が得られない可能性があります。血清は、まさに「診断のためのクリアな情報源」と言えるでしょう。
イラストで比較！血清と血漿のポイントまとめ
最後に、血清と血漿の違いを、イラストをイメージしながらポイントをまとめました。
-
定義
：
- 血漿：血液から血球（赤血球、白血球、血小板）を除いた液体成分。血液凝固因子を含む。
- 血清：血漿から血液凝固因子を除いた液体成分。
-
採取方法
：
- 血漿：抗凝固剤を入れた採血管で採血し、すぐに遠心分離。
- 血清：抗凝固剤を入れずに採血し、自然に固まった後に分離。
-
色
：
- 血漿：やや黄色がかった透明な液体。
- 血清：透明な液体。
-
主な用途
：
- 血漿：輸血、血漿交換療法、一部の検査。
- 血清：一般的な血液検査（血糖、コレステロール、肝機能、腎機能など）。
これらの情報を頭に入れておくと、「血清」と「血漿」の違いが、より一層クリアになるはずです。イラストでイメージしながら、この違いを覚えてしまいましょう。
血清と血漿の違いについて、イラストを交えながら分かりやすく解説しました。どちらも血液から得られる大切な成分であり、医療現場で欠かせない役割を担っています。このページで学んだ知識が、皆さんの健康への理解を深める一助となれば幸いです。