「供覧(きょうらん)」と「回覧(かいらん)」、どちらも書類などを関係者に見てもらうための言葉ですが、その目的や進め方には明確な違いがあります。この違いを理解することで、よりスムーズな情報共有が可能になります。今回は、この 供覧と回覧の違い を分かりやすく解説していきます。
供覧と回覧の違い:目的と関係者の役割
供覧と回覧の違いを理解する上で、まず重要となるのは、その「目的」と「関係者の役割」です。供覧は、特定の人物(または部署)に、その内容を「確認してもらう」「承認してもらう」といった、より能動的なアクションを求める場合に使われます。回覧は、より広範囲の関係者に、単に「情報を周知する」「目を通してもらう」ことを目的としています。
例えば、新製品の企画書を上司に提出し、承認を得たい場合は「供覧」が適切です。一方、社内イベントの告知や、部署間の連絡事項を全社員に伝える場合は「回覧」が適しています。 この目的の違いを意識することが、情報伝達の質を大きく左右します。
供覧の際には、内容の理解度や承認の有無を確認することが重要視されます。そのため、提出者は相手の疑問に答えたり、説明を補足したりする準備が必要です。回覧の場合は、全員が平等に情報を受け取ることが重要であり、個別の対応を前提とはしません。
- 供覧の主な目的: 確認、承認、指示
- 回覧の主な目的: 周知、情報共有
供覧:確認・承認を求めるコミュニケーション
供覧は、特定の相手からの「確認」や「承認」を得ることを主眼としています。そのため、単に書類を渡すだけでなく、その内容について説明したり、質問に答えたりする機会が設けられることが一般的です。
供覧における関係者の役割は以下のようになります。
- 提示者: 書類の内容を正確に伝え、相手の理解を助ける。
- 受領者: 内容を理解し、必要であれば質問し、最終的な判断(承認など)を行う。
供覧のプロセスでは、以下のような要素が重要になります。
| 要素 | 重要度 |
|---|---|
| 書類の分かりやすさ | 高 |
| 説明の正確さ | 高 |
| 相手の疑問への対応 | 中 |
供覧は、意思決定を伴う重要なコミュニケーション手段と言えます。
回覧:広範な情報共有のための手段
回覧は、多くの関係者に広く情報を伝え、目を通してもらうことを目的とした手段です。そのため、特定の誰かの承認を待つというよりは、情報を「均一に、速く」届けることに重点が置かれます。
回覧の典型的な流れは以下のようになります。
- 作成者: 回覧資料を作成し、関係者リストを作成する。
- 担当者: 資料を関係者に順次回していく(またはメールなどで一斉送信する)。
- 関係者: 資料に目を通し、内容を把握する。
回覧資料に含めると良い項目:
- 件名(内容がすぐにわかるように)
- 差出人・作成日
- 回覧期間
- その他、確認してほしい事項(任意)
回覧は、組織全体の情報格差をなくすための有効な手段です。
供覧と回覧の違い:具体的なシーンでの使い分け
では、具体的なシーンで、供覧と回覧をどのように使い分けるのかを見てみましょう。
- 会議資料の承認: 上司に会議資料の内容を確認してもらい、承認を得る場合は「供覧」となります。
- 出張申請書の提出: 上司の承認を得るために提出する場合は「供覧」です。
- 社内イベントの案内: 全社員にイベント開催を知らせる場合は「回覧」が適しています。
- 部署間での情報共有: ある部署の新しい取り組みについて、他の部署にも知ってもらいたい場合は「回覧」が一般的です。
状況に応じて適切な言葉を選ぶことが、誤解を防ぎます。
供覧と回覧の違い:書類の形式と運用方法
供覧と回覧では、扱われる書類の形式や運用方法にも違いが見られます。
供覧の場合、
- 書類の重要度: 承認や意思決定に関わるため、重要度の高い書類が多い。
- 確認・押印: 内容を確認した証として、署名や押印を求める場合がある。
- 個別対応: 相手の都合に合わせて、個別に対応することが多い。
回覧の場合、
- 書類の性質: 比較的、情報提供が主目的の書類が多い。
- 記録: 誰がいつ見たかの記録を残す場合もある(回覧板など)。
- 一斉処理: 一度に多くの人に情報を届けることを目指す。
書類の性質と、それに伴う運用方法を理解することが大切です。
供覧と回覧の違い:メールでのやり取り
現代では、メールでのやり取りも一般的になりました。メールでも、供覧と回覧の考え方は同様に適用できます。
メールで「供覧」する場合、
- 件名に「【要確認】〇〇について」や「【承認依頼】△△について」など、目的を明確にする。
- 本文で、確認や承認してほしい点を具体的に記載する。
- 返信期限などを明記する。
メールで「回覧」する場合、
- 件名に「【回覧】〇〇のお知らせ」など、情報共有であることを示す。
- 本文で、資料の内容を簡潔に説明し、目を通してもらうよう促す。
- CCやBCCを適切に使い分ける。
メールの件名や本文で、相手に「これは供覧なのか、回覧なのか」を明確に伝えることが重要です。
このように、供覧と回覧は、それぞれ異なる目的と運用方法を持っています。どちらの言葉を使うべきか迷ったときは、「相手に何をしてほしいのか?」を考えると、自然と適切な言葉を選ぶことができるでしょう。この違いを理解し、効果的な情報共有を心がけましょう。